「仮面画家アンソールの素顔」’22/8/27 森耕治会長講演会報告

仮面画家アンソールの素顔

2022年8月27日(土)にベルギー大使館の後援を受けて、東京大学伊藤国際学術研究センター(本郷)にて日欧宮殿芸術協会(JEPAA)森耕治会長の美術講演会「仮面画家アンソールの素顔」が開催されました。 アンソールは19世紀末から20世紀前半に、ベルギーで活躍した巨匠で、作品の多くに、仮面をつけた人物が登場するのが特徴です。彼は、どの流派にも属さず、全く独自の画風を築き上げました。しかし、その為に40歳ごろまでは、世間の無理解に苦しみ続けました。彼が描いた仮面の内側には、そんな彼の苦悩と、冷酷な社会への痛烈な皮肉が隠されてたと本講演で語られていました。

本講演で最も特徴的だったのが森会長が語った「アンソールの色彩の変遷」。アンソールは初期に画壇の異端児とされ、周囲からの無理解と嘲笑に晒されましたが、次第にベルギー国内でも認められ、やがてベルギーを代表する芸術家となります。その経緯と共にいかにして鮮やかな色彩を手にするようになったかが最も大きなテーマとして解説が行われていました。

アンソール芸術の本質は光の描き方にこそあると解説し、ここでしか聞けない森会長ならではの解説に20名を超える来場者は注意深く耳を傾けていました。

 

「クロード・モネと睡蓮池」(森耕治訳)発刊のお知らせ

「クロード・モネと睡蓮池」(森耕治訳)

と呼ばれて恐れられたフランスの政治家・ジャーナリストのジョルジュ・バンジャマン・クレマンソー。徹底したドイツ強硬論などを推し進めた剛腕の首相ですが、彼には芸術愛好家というもう一つの顔がありました。中でもクロード・モネとの親交は深く、晩年の「睡蓮」の連作などに大きな影響をもたらしたことで知られます。本書はそんな二人の友情の記録であり、またモネの晩年を知る重要なバイブルでもあるのです。

このたび日欧宮殿芸術協会の会長にして西洋美術史家でもある森耕治会長が、ヨーロッパの美術史研究の観点で翻訳、日本で発刊されることとなりました。日本人が好きな芸術家として有名なモネの新たな一面を、本書を通して見つけていただければ幸いです。