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Portfolio /作品一覧


対談 /conversation

2022年1月 井戸口麗煦×ゲルマー・トモコ対談(IMSギャラリー)

ゲルマー・トモコ(以下、ゲルマー):ゲルマー・トモコです。池袋やドイツの展覧会でお作品を拝見していました。

井戸口(以下、井戸口):井戸口麗煦です。以前は毎年のようにウルム(ドイツの都市)に住んでいる友人を訪ねていたので、ドイツやゲルマーさんには大きなご縁を感じています。

ゲルマー:本当ですか!ウルムはとても良い街ですよね。私も先生とは特別なご縁があると思っていて、素晴らしい書だと注目していました。まずはその作品についてお話を伺えますか?

井戸口:私は初め漢字仮名交じりの得意な先生について学んでいましたので、展覧会の出品作品はすべて詩文でした。その後「中国書法学院」のことを知らされ、すぐに入学しました。そこでまず甲骨文字から始まり21書体を教わりました。近代詩文書から学び始めたのですが、その後に弟子入りした先生から約21種の書体を教わりまして。その先生が自分の四字熟語の書を集めた作品集を出されていて、そこから創作の着想をいただいたのが、この「威武不屈」です。私も元々は漢字かな混じりの作品が多かったのですが、最近書いているのはほとんど漢字主体の作品ばかりですね。

ゲルマー:そうだったんですね。この作品はドイツでも多くの方が足を止めていらっしゃいました。やはり井戸口先生の漢字は、言葉の壁を超えて通じるものがあると思いますね。

井戸口:私も無事に作品を見ていただけて、よかったと思います。

ゲルマー:まったくその通りですね。この作品を出展いただいたベルリンの展覧会は、直前までコロナウィルスの影響で開催できるかどうか、ドイツのスタッフも内心とても不安でした。それが、開催される6月になって急速に感染者数が減ったんです。何か芸術の力というものが働いたような、そんなふうに思いましたね。

井戸口:でも開催できたことが何よりですね。

ゲルマー:ドイツではたくさんの方が来て下さって、とくに書道や漢字の作品は人気がありました。井戸口先生は、ドイツについてどんな印象がありますか?

井戸口:初めてドイツへ行った時、普通の住宅でも、窓辺にきれいな花が飾ってあるお家が多くて、素敵な国だなと思いました。それと女性のファッションがとても機能的で洗練されているのが良いですね。生活も、ゴミの分別をしっかりされていたり、色々と無駄がなくて、そういうところが好きです。
そういえばゲルマーさんは日本生まれと聞きましたが、どちらの出身ですか?

ゲルマー:私は福岡県小倉の出身で、父親が宮崎出身です。

井戸口:実は私も宮崎県出身なんですよ。

ゲルマー:それは奇遇ですね。宮崎はいいところがたくさんありますよね。高千穂もきれいです。でも個人的には、宮崎の高地で見た雲海が、人生で一番印象深い景色でした。まさにこういうところに神が降り立つのだと思いましたね。私も先日実家の福岡に帰省して、宮崎もまた行ければと思っていたのですが、コロナのせいで自由に動けなくなってしまいました。井戸口先生もコロナでご苦労されたのではありませんか。

井戸口:緊急事態宣言の敷かれていた時は、連日ニュースで感染者数が増えていることを不安に思っていました。そして20205月に学校の閉鎖、書道会の事務所もう作品受け付けずで初めて1ヶ月休みました。しかしその後、自分の住んでいる地域は感染者数が少なく、東京などと比べると落ち着いて生活できていたと思います。書道教室の方も、さほど変わりなく続けていられました。とくに年末年始は、子どもたちの書き初めのために忙しく、あまりコロナの恐怖を意識せずに過ごしていました。

ゲルマー:生徒さんは小学生ですか?

井戸口:そうですね、みんな小学生です。中学になると受験勉強などで忙しくなる子も多い。高学年の子たちは、そろそろ離れていくのかなと思います。

ゲルマー:子どもってみんなそれぞれ個性的ですよね。私もベルリンの音楽学校でフルートを教えていますが、本当にいろんな生徒がいます。小一から高三まで様々。10年以上の付き合いになるから、どう成長していくか楽しみでもありますね。

井戸口:そうです。高校生になった教え子と路上で話しこんだり、筆で書いていく子もいます。ただ子供を教えるのは大変です。彼らを中心に回っていく生活になりますから。

ゲルマー:井戸口先生は、大人の方向けの教室も運営されていると伺いましたが。

井戸口:いや、本人たちに頼まれて教えているだけですよ。子供向けの教室は、今通っている生徒さんたちが全員卒業したら区切りをつけようかと考えています。その後は大人向けの教室も先生と生徒の関係を緩めて、みんなで書を楽しむグループのようにしてもいいですね。

ゲルマー:それが井戸口先生の今後の目標になりますか?

井戸口:目標と言うよりも、こうできたらいいなという思いですね。今もそれに近い状況です。それからもし時間が取れるようになったら、劉洪友先生のところでもう一度しっかりと書を学びたいですね。今は母の体調が悪いので、もし回復してきたら考えたいです。やはり先生に見てもらえる方が自信が付きますから。

ゲルマー:確かに(師匠がいると)目標も見えやすくなるし、アドバイスもいただけますからね。

井戸口:ありがたいですね。劉先生の指導には、「威武不屈」のような四字熟語以外にも、漢詩を100編も書くという課題もありました。書の勉強を本格的に再開できたら、今書いていない書体にも挑戦したいです。

ゲルマー:最近は、若い学生さんが掛け声を出しながら筆を振るうスタイルもありますね。

井戸口:書道甲子園ですね。石飛博光先生たちが中心になって実施されているとか。実際にやっているところを見ると、かっこいいなと思いますね。

そういえば書道のように学生が芸術に取り組む文化は、ドイツにもありますか?

ゲルマー:音楽学校はありますが、書や詩の大会は無いです。そもそも普通の人が和歌を詠んだり書道を楽しむ文化自体がほとんどない。日本はすごいです。

井戸口:私も以前1年間、書の授業で地域の小学校に行った時、教室の壁にみんなが詠んだ俳句が張り出されているのをみてびっくりしました。自分達の子どもの頃はなかったですよ。

ゲルマー:そういった書文化の成長というのは、やはり井戸口先生のように先頭を走る素晴らしい書道家の活躍に促されたものだと思います。ぜひこれからも、素敵な漢字書を書き続けてください。本日はありがとうございました。


展覧会 /Exhibition

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Profile /経歴

 

1946年 宮崎県出身
師:劉洪友
作品出展国遍歴(JEPAA関連事業):ドイツ、オーストリア、ベルギー他

Born: 1946 , Japan
Master: Ryū Kō
Exhibition of Works(JEPAA): Germany, Austria, Belgium,…

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