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特別対談

2025年特別対談 平手宗子×エリック・デュバリ

日本とフランス、花でつながる美の哲学

エリック・デュバリ(以下 デュバリ):平手先生とはパリでお会いして以来ですね。あの時はありがとうございました。

平手宗子(以下 平手):こちらこそパリではお世話になりました。

デュバリ:そして今日は、お越しいただきありがとうございます。

平手:実を言いますと、お花の業界は今(年末)が一番忙しいんです。クリスマスやお正月の時期に差し掛かりますから。

デュバリ:確かに。そんなタイミングでお時間をいただき、すみません。

平手:でも私もデュバリさんとはまたお話を伺いたいと思っていましたので、このような機会がいただけてとても良かったです。

デュバリ:私もお花の芸術の世界は日本の伝統文化ですから、ぜひ平手先生のようなプロフェッショナルな方に色々とお話を聞きたいと思っていました。さっそくですが、フラワーアートの世界に入られたのはいつ頃からなのでしょうか?

平手:若い頃からずっと花は好きで、最初は活け花から始めました。30代からフラワーアレンジメントの世界に飛び込んで、今に続いています。ジャンルに関わらずどんなお花の芸術も好きなので、分け隔てなくやっていますね。今は自宅のアトリエを含めて3箇所で教室を開いています。私は先生の立場ですが、生徒さんたちと一緒に学ぶような気持ちでやっていますね。

デュバリ:先生のお花に対する愛情がいかに深いか、よくわかります。しかし3つも教室を経営されているというのは驚きです。

平手:それ以外にも依頼を受けて花の指導に出向いたり、介護施設のお花講座などもやっていたりします。

デュバリ:私の中の平手先生の印象が、今のお話だけですっかり一変したような気分です。しかしご自身の創作以外にもそんなに多方面で活動されていたら、心身ともに大変なのではありませんか?

平手:そうですね。でも元々は自分のために始めたことですから、辛いとは思いません。それに、お花を前にして皆さんが笑顔になってくれるのを見られるので、それが幅広い活動を続ける原動力になっています。

デュバリ:素晴らしい。確かに反響を直に確かめられることは、大きなモチベーションになりますよね。ところで創作についても伺いたいのですが、よろしければ今回の作品のポイントをご紹介いただけないでしょうか?

平手:実は、私の作品はどれも日本的な要素を作中に取り入れているんです。別に最初からそういった制約を設けていたわけではないのですが、創作を続ける中で自然と方向性が定まって行きました。これは、私の創作のベースが活け花にあるからかもしれません。今回の作品は、「花咲か爺さん」がモチーフになっています。昔話と花の芸術の組み合わせを不思議に思う方もいるでしょうが、最後に花が出てくる点でイメージが結びつきました。それと日本の昔話は、善と悪が対になっていることが多く、そこに日本の心とか道徳心などを学ばせる要素があるので、日本人なら子どもの頃にみんな馴染みがあるかもしれませんね。

デュバリ:確かに、子どもに倫理観などを学ばせるために、昔話や童話が教材になるというのは、どこの国でも同じですね。ちなみに、他にも昔話をモチーフにした作品を作る機会は多いのでしょうか?

平手:そうですね、例えば、パリに出品した作品は「かぐや姫」でした。元々は宇宙に対する興味を創作に活かせないかと考えていた構想を、日本らしさや昔話などのスタイルに落とし込んだ作品です。

デュバリ:非常に興味深い構想ですね。実はパリで「かぐや姫」を拝見した時から、平手先生の作品には優しさを感じていました。おそらくご本人の精神に通じるものがあるのかもしれませんね。ところで、平手先生は活け花以外にもアーティフィシャルフラワーやアレンジメントなど、和洋両方の花芸術をやっているとのことでしたが、それが先生の個性にもなっているのでしょうか?

平手:私の場合、ベースは和にあります。それは今後も変わりません。ただ活け花は制約が多く、一方でフラワーアレンジメントは密集した個の存在、華やかさがあります。自分ではその差を楽しんでいるつもりです。ただ私の作品を見てくれる方は、活け花の空間や間の取り方など、和の精神を見つけ出されることが多いので、それが結果的に私の個性になっているとも感じています。最終的には、見て下さる方がそれぞれに判断してくれたらいいのではないでしょうか。

デュバリ:なるほど。ちなみに私は、先生の作品から優しさと共に優美さも感じていたのですが、その優美さが空間の取り方などから表現されている、だから和と洋の両方の良さが調和されているのではないかと考えていました。

平手:ありがとうございます。ところでお花といえば、フランスの方は花言葉を大事にしているように思うのですが、デュバリさんにはそういった意識はありますか?

デュバリ:私の場合、花言葉にまつわるモチーフなどを日頃の作品制作には意識しませんが、依頼を受けて制作する時には、何か制約やタブーなどがないか考慮するようにはしています。例えば入院のお見舞いにはこういうものが良い、悪いということがありますよね。

平手:では基本的な作品制作をなさる上では、純粋に美しさを追求しているのでしょうか?

デュバリ:そうですね、自分のイメージした表現を追求する上で、外部のルールや慣例などには縛られず、もっともふさわしいものを選ぶようにしています。そこに区別はありません。

平手:確かに私も、綺麗なものであればなんでも取り入れてみたい気持ちになります。それは人付き合いとも同じですね。魅力的な人物なら、国籍や文化、性別、職業などにとらわれず、お話を聞きたくなります。

デュバリ:私も同意見です。しかし花言葉とは違いますが、日本の伝統芸術には、活け花以外でも哲学があるので、フランス人の目には魅力的に映ります。

平手:ありがとうございます。私も先人たちが築き上げてきた哲学のある芸術を、少しでも多くの人に伝えていきたいと思っています。

デュバリ:そうだったんですね。実は日本に来る前から、平手先生のお花には、フランス人が日本に対して「いいなあ」と思う要素が詰まっていると思っていたんですよ。もちろんフランスにも伝統はあります。しかし日本の洗練された芸術は、その度合いがまったく違いますよ。

平手:でもフラワーアレンジメントは、元々フランスがベースにあるんです。だから私たちもフランスに対して憧れを持っているんですよ。

デュバリ:そうだったんですか。私も初めて知りました。

平手:ところが最近、そんなフランスのアレンジメントのトップの方や若い人たちが剣山を使うようになっているんですよ。遠く離れた存在だと思っていたのに、思わぬところで繋がったことに、不思議な運命を感じています。
デュバリ:日本には、フランスに失われた価値観があると感じています。それが、文化交流を通じて、再び蘇ってくることがあると実感するようになりました。そういった意味でも我々が交流する意義があると思うんです。平手先生には、ぜひまたフランスに来ていただき、日本の精神などを伝えていただけないでしょうか?

平手:できれば、またそんな機会があればいいですね。

デュバリ:最後になりますが、今後について何か達成したいことなどはありますか?

平手:明確な目標はありませんが、日本の心を伝える作品作りは続けていきたいですね。最近の若者は選択肢がとても広くなっていて、うらやましくなります。昔の女性はお茶やお花くらいしかありませんでしたから。そんな今の時代に日本の花文化を伝える難しさというものを日々感じています。フランスは、どんなお宅でも、お花が生活の中に溶け込んでいますよね。それがとても素晴らしいと思っています。日本人は、花は必ず花瓶にいけるという固定観念がありますが、フランスのように、コップ一つあればお花は楽しめる、そんな自由な精神を、日本で広めていく手伝いをしていきたいと思っています。

デュバリ:なるほど、日本には日本の難しさがあるのですね。私の知り合いも、確かに自由に花を楽しんでいます。美しいものを作りたい、というよりは、どんな風に飾ろうかな、という手間を楽しんでいるように見えます。それと実を言いますと、私の作品にも植物をたくさん取り入れているんです。だから平手先生の作品から、大きな刺激をいただきました。きっと近い将来、創作のインスピレーションとして私の中に降ってくるのではないかと思います。

平手:デュバリさんは、自然はお好きですか?
デュバリ:もちろん。作品制作の際には、植物などを見て、単純にそれを写しとるというのではなく、美しい花や木を見ているうちに、内なる感情が膨らんで行って、溢れ出してくる―その瞬間をじっと待つんです。それがないと私の作品は表現できませんから。

平手:私もインスピレーションが溢れてきて創作に没頭することがあります。それと最後にもう一つだけ。デュバリさんのお洋服、お花のデザインが素敵ですね。

デュバリ:本当だ、意識していたわけではないのですが、平手先生のお話を伺うにはピッタリですね。実は私、花がらのデザインが好きなんです。

平手:そうだったんですね。日本人男性は花柄を着る方が少ないので、すごく目に留まったんです。

デュバリ:平手先生とは本当にお話が尽きません。もっと伝統芸術やお花の歴史についても伺いたかったです。ぜひまたお会いできる日が来ることを願っています。本日はどうもありがとうございました。

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個展ブース

 

特設個展ブース in 日欧宮殿芸術祭2025
会期:2025年9月19日~21日
会場:ハル・ドゥ・ブラン・マントゥー(フランス)
主催:一般社団法人 日欧宮殿芸術協会
運営:クリエイト・アイエムエス株式会社

 

 

特設個展ブース in 日欧宮殿芸術祭2023
会期:2024年4月20日〜22日
会場:シャルロッテンブルク宮殿オランジュリー(ドイツ)
主催:一般社団法人 日欧宮殿芸術協会
運営:クリエイト・アイエムエス株式会社


特設サイト

日欧宮殿芸術祭2026
会期:2026年7月3日~5日
会場:メディテレニアン カンファレンス センター(マルタ)
主催:一般社団法人 日欧宮殿芸術協会
運営:クリエイト・アイエムエス株式会社

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経歴

平手宗子 Muneko Hirate

プリマヴェーラ主宰
10代から茶道と華道を学び、いずれも教授の資格を取得。その後、フラワーアレンジメントの技術も習得し、多彩な分野での経験を積む。現在は自宅を含め、4つの教室で指導を行っている。
作品出展国遍歴(JEPAA関連事業):ドイツ、マルタ共和国、フランスなど

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