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特別対談

2024年特別対談 新納寿逕×ミハエル・スチューデント

師匠より受け継ぐ書の精神が海を超えて感銘を齎す

新納寿逕(以下 新納)スチューデント先生は、いつも写真などでお顔を拝見していました。今日こうして実際にお会いできてとても嬉しいです。

ミハエル・スチューデント(以下 スチューデント):とても光栄です。私も新納先生の「華如桃李」に大変感銘を受けたので、ぜひお会いしたいと思っていました。最初は墨の線の素晴らしい造形に惹かれたのですが、ゲルマー・トモコさんが文字の意味を教えてくれて、いっそう好きになりました。

新納: こちらこそ、ありがとうございます。

スチューデント: 新納先生は昭和三筆とも称される手島右卿先生のお弟子さんだったと伺っています。やはり素晴らしいお師匠様から学んだこともたくさんあるのではないでしょうか。

新納: 私が手島先生について学んでいた頃は、教職についていて、とにかく忙しい日々でした。今思い返すと、手島先生の書に対する理念の深さからもっと沢山のことを学んでおけばよかった、お話をする機会を得ておけば良かったと感じることばかりです。尊敬いたしております。しかしあの頃は仕事などと両立しなくてはということで精一杯でした。

スチューデント: 後悔することは私もたくさんあります。一生懸命にやっていただけなのですが、もっと上手くできたのではないかと考えるとキリがありませんよね。ところで今日も素晴らしい作品をお持ちくださっていますね。よろしければ解説いただいてもよろしいでしょうか。

新納: この「櫻」は、朱墨を使って書いた作品です。書道は黒い墨が一般的で、たまに青墨という薄く青い墨を使うこともあります。朱墨での作品はあまりなく添削に使います。手島先生には臨書の大作があります。今回の作品では3種類の朱墨を使っています。古墨の墨や、添削用の墨、現代の液墨の3種ですね。これらを織り交ぜて桜のパッとした華やかさが出せたらという想いで書きました。

スチューデント: 書道といえば黒い線のイメージがあったので、意外性があって良いですね。その中でも3種類の墨を取り入れるなど、しっかりとこだわりを持っていらっしゃるところに、書家として、表現者としての強い気持ちを感じます。

新納: ありがとうございます。そうですね、やはり書道である以上、墨には拘りたいと思って書きました。

スチューデント: 新納先生の創作活動といえば、何度も書き直しながら苦労して作品を生み出すと伺いました。

新納: そうですね、「華如桃李」は300枚書きましたが、全て300枚も書いているわけではないです。桜のような小作品だとそんなに多くなりません。ただ、思いが通じないと良い作品になりませんから、自然と多くなってしまいますね。

スチューデント: 思いが通じる作品というのは難しいですね。しかもそれを墨の線と装丁だけで形にされるという書の奥深さと新納先生の表現力に改めて感心します。今日はお互いに念願の対面となりました。ぜひまた再会できることを楽しみにしています。


2023年特別対談 新納寿逕×ゲルマー・トモコ

母の思い出と師匠の指導を胸に、情感豊かな筆跡を表す

ゲルマー・トモコ(以下 ゲルマー):華如桃李はド イツで何度か拝見させていただいております。改めて 作品についてお伺いできますでしょうか?

新納寿逕(以下 新納):私は花をはじめ、自然が大好 きでして。日本の花といえば桜ですけれど、中国では 桃とか李になるようでして。それでこの句語を見たと きにときめいてしまいまして、ぜひこの言葉を書いて みたいと思ったんです。しかし書いてみてもうまくいかなくて、ずいぶん書き直しましたね。画仙紙を300 枚くらいは使いました。

ゲルマー:300ですか。すごい数ですね。

新納:それでもなかなか思うようなものができないん ですよ。書いた時と壁に掛けた時とで見え方が変わる のでそれを繰り返しながら書いてきましたよ。

ゲルマー:実はJEPAA 協力アーティストのミハエ ル・スチューデントさんも先生の作品が大好きなんで す。言葉の意味を知らない時から新納先生の作品は華 やかだとずっと言っていました。

新納:海外の、それも他ジャンルの芸術家の方にそう いって頂けるのは光栄の至りです。

ゲルマー:ドイツでは、たくさんの方が先生の作品を 見て感激されていました。涙を流しながら感動してい らっしゃる方もいて、言葉を超えるのが芸術なのだと 改めて感じさせていただきました。

新納:大変恐縮です。

華如桃李

ゲルマー:先生はご自身の句やお母様の句を作品にさ れることも多いとお伺いしておりますが。

新納:そうですね。師匠の手島右卿先生は「本当に感動したものが作品になる」とか、「感動したものがある から作品に魂が入る」といった言葉を常々仰っておら れたんですね。それで、母の句集をよく開いておりま した。母はよく私と過ごしている時のことを詠んでい たので、読み返しているととても温かい気持ちになる んです。

ゲルマー:そうでしたか。先生の書はどれも情景が浮かんだり、温かい気持ちになるので、詩や歌の意味を 線で表す力があるように思えます。 新納:手島先生の教えのおかげです。手島先生が墨は 黒一色だけど一色ではないと。若い時はただ一生懸命 に字を書いておりましたが、やっとその字が持つ意味 を意識できるようになったと思います。

ゲルマー:手島先生を心から尊敬されていらっしゃっ たのですね。

新納:それはもちろん。先生の表す字の意味の深さに いつも感銘を受けておりました。あまり口数の多い先 生ではなく、初めて話をしたのは入門して10年くらい 後のことです。私は学生の頃から先生のもとで教わっ ておりましたが、先生が書いている時の筆遣いを必死 に見て真似しようとしていました。

ゲルマー:手島先生からはどんなご指導を受けていた のでしょうか? 新納:先生の書かれた古典の臨書を手本とし、稽古日に添削していただくのですが、先生は直接良し悪しの 説明はされませんので、◯印の大きさや◯印の箇所か ら自分で判断するわけです。稽古時の先生の手指の動 きをしっかりと見つめ、用筆法、技法を学び取るわけ ですね。

ゲルマー:なるほど。ドイツにも多くの著名な音楽の 教育者がいますが、やはり素晴らしい教育者は生徒に 考える時間を与えるように思います。

新納:おっしゃる通りだと思います。中でも古典の臨 書は厳しかったです。しかしこの作品のような創作作 品はどなたにもお手本は一切書かれませんでした。そ れぞれの人の個性を尊重し、自分で考え、生かすよう にとのご配慮だったかと思います。でも先生に見てい ただく時はいつも冷や汗をかきながら通っておりまし た。

ゲルマー:手島先生の書に対する姿勢や書き方を間近 で見られたのは特別な経験でしたね。

新納:はい。「何も仰らなくても語っているんだよ」と よく先輩のお弟子さんに言われておりました。それを 感じられるようになるまで時間がかかりましたね。そ して先生がおっしゃられる一言一言にいつも勉強させ て頂いて。なんとか身にしなければと思っておりまし た。ただ、それを実感できていると感じられるように なったのは今だからこそなんですよね。当時は字を書 くことに必死でした。

ゲルマー:しかしそれを超えて今があるということですよね。

新納:そうですね、今にしてみると本当にありがたいことですね。ただただ手島先生には感謝しておりま す。もうお亡くなりになられてしまいましたが、叶う ならもう一度作品を見て頂きたいなといつも思いま す。ご指導を受けられてとても幸せでした。


個展

特設個展ブース in 日欧宮殿芸術祭2026

会期:2026年7月3日~5日
会場:メディテレニアン カンファレンス センター(マルタ)
主催:一般社団法人 日欧宮殿芸術協会
運営:クリエイト・アイエムエス株式会社

特設個展ブースin 日欧宮殿芸術祭2021

会期:202164日~6
会場:シャルロッテンブルク宮殿(ドイツ・ベルリン)
主催:一般社団法人 日欧宮殿芸術協会
運営:クリエイト・アイエムエス株式会社


特設サイト

日欧宮殿芸術祭2026

会期:2026年7月3日~5日
会場:メディテレニアン カンファレンス センター(マルタ)
主催:一般社団法人 日欧宮殿芸術協会
運営:クリエイト・アイエムエス株式会社

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経歴

新納寿逕 Jukei Niiro

1941年 神奈川県出身
横須賀書道連盟
師:手島右卿 上松一条
作品出展国遍歴(JEPAA関連事業):ドイツ、マルタ、ベルギー、カナダ他

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