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2019年特別対談 菊池三奈×クラウス・メンツ・ザンダー

明るく華やかな花風景の向こうに輝く女流画家の美観

クラウス・メンツ・ザンダー(以下、ザンダー):菊池先生の作品は、ミュンヘンでの展覧会で拝見させていただきました。本日、こうして作者とお会いできて、とても光栄です。

菊池三奈(以下、菊池):こちらこそ、ありがとうございます。

ザンダー:今回は、新作を描いてくださったということで、感謝します。ぜひ作者の観点からご解説いただけないでしょうか?

菊池:そうですね、私は純粋にきれいな色が好きなので、澄んだ色が表現できるようにということは意識しています。色が濁ってくると嫌なんですよ。

ザンダー:色使いがとても華やかで楽しいですね。とても良い色合いです。赤、青、黄色の三元色に、紫、オレンジ。緑が映えて、非常に明るい絵になっていますね。黒が無いことも、効果的だと思います。

菊池:でも実は、一番下に下地として黒を使っているのですよ。さらに青や赤を塗り重ねて、下地を仕上げています。

ザンダー:それは失礼しました。こんなに明るい絵なのに、それを支えているのが黒というのは、面白いですね。構図もいいですね。白い花たちと色彩のカラフルな花たちで向かい合うような画面構成になっています。

菊池:この作品は『自己紹介、私はエンゼル、私へメロカリス』と言いまして、お花同士が自己紹介しているのです。

見てくださる方も、花と会話しながら見てくださったり、一緒に、見る方も絵と好きなように、自由に話しながら見てくださればいいなと、楽しんでくださればと思って描きました。

ザンダー:一つの絵として、とても上と下が対話をしていて、よくできています。本当に花同士が会話しているようです。3:2 の落ち着きある構図も素晴らしいと思います。

ところで菊池先生が、このように美しい絵を描き始めたのは、いつ頃からですか?

菊池:もともと私は別に仕事がありまして、かれこれ30年くらいはその本業に従事していました。その仕事から離れたことで、改めて絵に向き合い始めたのです。絵を描きたいという思いは、その以前にやっていた仕事の影響もありますね。お客様を美しくして差し上げる、いわゆるおしゃれに関する仕事だったものですから、色彩感覚などが養われたのだと思います。

ザンダー:私も同意見です。花という対象を描くと同時に、菊池先生ご自身の人生が表現されているのだと思います。そして、とても自由ですよね。綿密な計画の下に設計されたような感じが無く、その瞬間の感情が開放されているように見えます。

菊池:やはり自分自身が自由に描いているからだと思います。自分自身が楽しいから始めた絵ですから、これからも気持ちのままに楽しんで描いていきたいですね。

ザンダー:だからこそ、作品が輝いて見えるのだと思いますよ。

最後になりますが、ドイツでも作品が評価される菊池先生から見て、今後日本とドイツの交流がさらに発展していくために、何が必要と思われますか?

菊池:やはり、お互いがお互いをよく知り合うことではないでしょうか。それが一番ではないかと思います。

ザンダー:知り合うということは非常に大切だと、自分も思います。また近年は、国際的な芸術交流が盛んで、日本の芸術作品がドイツで公開される機会も少しずつ増え、菊池先生のように評価が高まっています。

お互いの国で双方の芸術作品が行き来することが、その大きな鍵になるのではないでしょうか。

それともう一つ。菊池先生にぜひおすすめしたい画家をご紹介させてください。エミール・ノルデというドイツの水彩画家なのですが、ナチス政権下で創作活動が制限されてしまい、1956 年には亡くなったのですが、その生涯のうちに多くの花の絵を描いています。ドイツ国内でも人気が高く、小さな作品でも高値で取引されています。菊池先生の描かれる風景と共鳴するものがあるかもしれませんので、よろしければ彼の作品をご覧になってください。

菊池:ありがとうございます。ぜひ見せて頂きます。

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