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Portfolio /作品一覧

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Interview article /対談記事

高い志のもと、優れた表現力と指導力で洋装を牽引する

ゲルマー・トモコ(以下ゲルマー):日欧宮殿芸術協会ヨーロッパ支局長のゲルマー・トモコです。よろしくお願い致します。

千田芳江(以下千田):千田芳江です。千葉県の松戸市でセーヌ洋裁教室およびモードブレインセーヌの運営、一般社団法人日本洋装協会相談役をしております。

ゲルマー:千田先生は、日本の洋装業界で大きな役割を担っているそうですね。
本日はお越しいただきありがとうございます。今日は、パリ展にご出品いただける作品をこちらにご用意いただけたということですが、よろしければ。

千田:これは「紅梅と鶴」という作品です。紅梅をイメージした部分にカーテン地を使っています。これは京都の西陣の近くにある川島織物のもので、前々から「この生地で何か作れたら」と思っていました。それで決心して一昨年(2020)の3月に完成させたものです。

ゲルマー:カーテン地なんですか!カーテン地で作られたドレスを見たのは初めてです。

千田:それとコロナで社会全体が落ち込んでいるように感じられた時期だったので、若い方たちに元気を出してもらいたいという思いを込めて作りました。「一人で落ち込まず、みんなで一生懸命頑張りましょう」ということを伝えたかったんです。

紅梅と鶴(世界の平和を祈って)前

赤い紅梅は美と力強さを表現しています。また衿には日本独特の織り柄「向かい鶴」の織物を使っていて、頭上にも紙の折り鶴をのせました。衿元には向かい鶴の刺繍もしてあります。

ゲルマー:細やかな表現が随所に見られますね。素晴らしいです。先生の作品には日本的な要素が入っていますよね。「ドレスから日本の文化を感じられる」と非常に海外展でも人気があります。

千田:ありがとうございます。確かに私がこういった作品を作るときはこの織物のような日本の素材が多いです。それが洋裁の本場ヨーロッパで評価されていると伺い有り難く思います。私はずっと洋裁をしてきましたが、制作を続ける中でいつしか洋裁も芸術のうちのひとつじゃないか、作品を見た方々にもそう思って頂きたいと思うようになってきました。
私にとっては長い時間をかけて、考え抜き、形にしていくその過程は、絵を描くのも、ドレスを作るのも同じことだと思っています。

例えば、以前発表した「マウント富士」という作品は、その名のとおり富士山をイメージした作品です。こちらの制作工程では構想の段階で何度も富士山を見にいきましたし、何年もかけてイメージにあった生地を探して、やっと完成させることができました。

ゲルマー:そのプロセスはまさにアート作品です。そして普通に着るドレスとは違う観点で制作されたのだとよくわかります。素晴らしい画家が絵の具の素材を注意深く選ぶように、千田先生も生地を厳選して製作を始めるんですね。

千田:はい。しかし私の場合は人が着られないようなアートになることが目的ではなく、人が着るという点も大切にしています。また大量生産のアパレルには作ることのない、私自身の価値観でしか生み出せない深いものを表現する。そう信じて自分自身の道を貫きたいと思っています。

ゲルマー:ご自身の歩むべき道を突き進んでいる姿に気品を感じます。
最後になりますが、先生の今年の抱負や今後の活動の展望をお伺いできますか。
私は洋裁教室を始めた時から「生徒と一緒に学び続けよう」という姿勢を大切にしています。それは創立50年以上経った今も変わっていません。それに最近は検定や大会がある時に自分一人でやるのではなく、仲間や生徒と共に臨もうという意識が強くあります。「とにかく私もやるから、あなた方も挑戦しましょう」という気持ちです。

だから私も作ったものはすぐに公開するようにしています。実際志の高い方々が多く、さまざまな場で結果を残されているのは非常に嬉しいですね。

ゲルマー:生徒の方々に教えながら自分自身も共に成長する。だからこそ先生の作品は多彩で魅力的なんですね。本日はいろいろな話を聞かせていただき、ありがとうございました。どれも貴重なお話ばかりでした。今後先生の作品を海外で紹介させて頂く時には今日のお話しされたことも一緒に伝えていきたいと思います。本当にありがとうございました。

千田:こちらこそありがとうございました。

(2022年1月 千田芳江×ゲルマー・トモコ対談)

A driving force in Western-style dressmaking with high aspirations, outstanding artistic expression, and instructional ability

(January 2022,Yoshie Senda and Tomoko Germer in conversation)


Profile /経歴

千田芳江 Yoshie Seida

1934年生 石川県出身
日本洋装協会相談役
日本モデリスト協会正会員
厚生労働省卓越技能章(現代の名工)など
作品出展国遍歴(JEPAA関連事業):ドイツ、フランス、ベルギー、カナダ他

Born: 1934 Ishikawa, Japan
Affiliate Group: Nihon Dress Association,Japan Modelist Associate etc…
Exhibition of Works(JEPAA): Germany, France, Belgium, Canada…

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