2024年特別対談 内田百合子×ミハエル・スチューデント
日独を代表する芸術者ふたり、創作を通して地球環境を憂う
ミハエル・スチューデント(以下 スチューデント):内田先生、お久しぶりです。お会いするのは7年ぶりになりますね。
内田百合子(以下 内田):再会できて本当に嬉しく思います。
スチューデント: 内田先生といえば、近年では地球温暖化を創作テーマの一つとされていますね。ベルリンでの展覧会でもご出品くださっていたことを覚えています。
内田: ありがとうございます。ドイツでは地球温暖化の問題は、どのように捉えられていますか? 人々の意識などは高いですか?
スチューデント: ドイツではかなり環境問題に対する意識は高いと感じます。酸性雨の黒い森などが有名ですね。しかし最近は、内田先生が作品で表現されているようなことが増加しています。国全体で環境問題に取り組まなくてはいけないという意味では、日本と同じです。ところで内田先生は創作についてどのようにモチーフやヒントを探していますか?
内田: 私の場合は、メモを常に手元に置いていますね。アイディアが閃いたらすぐに書き留めるようにしているんです。
スチューデント: 内田先生は創作も完全に確固たる作品性があります。押し花という世界とも少し違う独自のものですよね。
内田: 確かに皆さんの思い描く一般的な技法の押し花も、長く作っていました。でも自然なものなので時間が経つと変色してしまうんです。それがとても悲しくて、糸を使う現在のスタイルに移行しました。それが私のターニングポイントですね。色が変わらない技法を得て、表現の幅が広がりました。
スチューデント: 実際、内田先生の現在の表現には、力強い印象があります。押し花の伝統的なスタイルではできなかった世界観ですね。ちなみに制作にはどれくらい時間がかかるのですか?
内田: そうですね、アイディアが閃いてから4ヶ月くらいはかかります。
スチューデント: 内田先生の創作は独創的でもありますし、謎めいた印象もあります。ですから制作のお話を伺えるのはとても興味深いです。
内田: ありがとうございます。
スチューデント: 私はできるだけ多くの人に内田先生の作品を知ってほしいですね。環境問題について考え、環境に対する意識を高めてほしいと思います。
内田: 日本でも環境問題に対する呼びかけや訴えを口にする人は少ないですね。
スチューデント: とても残念ですね。芸術家も環境意識を高めること、そして環境をテーマにした作品を作ることが重要だと考えています。地球温暖化を解決しようと単純に呼びかけるよりも、芸術を通して感動を与え、メッセージとして伝えた方が有効ではないかと思うのです。
内田: 確かに直接言われるよりも、芸術の中から自分なりに環境への意識を見つけてもらえることは大きいですね。
スチューデント: 今日は貴重な話をありがとうございました。ぜひまたお会いできるよう、それまでお互いに健康でいましょう。