2023年特別対談 公庄弘子×ジョゼフ・バルバラ
自由な心が色鮮やかに踊る内面表現の世界
ジョゼフ・バルバラ(以下 ジョゼフ):公庄先生の作品は、マルタの展覧会でも拝見していました。私は 画家なので公庄先生の絵の方のイメージが強く残っているのですが、今回は立体作品を出してくださったのですね。よろしければご解説をお願いします。
公庄弘子(以下 公庄):私は花が好きなので、見方次第でオブジェでも花活けでも、どちらにも取れるものを制作しました。その時にパッと思いついたままに自由に作っていくのが私のやり方なんです。
ジョゼフ:それは素晴らしい。色もとても美しいです。ちなみにこの作品はろくろを使ったのでしょうか? それとも手捻りですか?
公庄:手捻りですね。自分で粘土を自由に捏ねなが ら、まさにその時のイメージのままに作りました。
ジョゼフ:やはりそうですか。そのイメージを膨らませながら作り上げた工程が、作品から伝わってきて良 いと思います。ところで私は公庄先生の絵にも興味が あるのですが、制作の時はどのようなモチーフを考え ることが多いですか?
公庄:テーマなどを設けて描くことはあまり無いよう に思います。私の場合は、その時の心の中にあるもの を自分の外側に出すという感じです。例えば、葛藤か らの解放であったりとか、仕事を離れて気持ちを新た にした時などですね。ですから、表現したい気持ちが 心から湧き上がってくることが大事です。
ジョゼフ:作品を見ていると、その時々の気持ちが色 彩として表現されているように思えるのですが、いか がでしょうか?
公庄:そうかもしれません。ただ私は計画的に描いて いるわけではないので、『こういう気持ちだからこの 色を使おう』という風に一つ一つ理由や意図を説明す るのは難しいですね。瞬間的な閃きなので、『気がつい たらこうなっていた』ということが多いです。
ジョゼフ:私は公庄先生が明るい色で描いた作品が好 きですね。きっと気持ちも明るく幸せな時だったと思 いますから。
公庄:ありがとうございます。
ジョゼフ:いまお話を聞いただけでも公庄先生の創作 はかなり個性的だと思うのですが、先生はいつ頃から 芸術活動をやっているんでしょうか?
公庄:私にとっての芸術の原点は、遊びの泥団子なん ですよ。子どもたちはみんなやるでしょう?でも私 は自由にやらせてもらえなくて、その時の気持ちが大 人になるまでずっと胸に残っていたんです。 学校を卒業後、小学校の教師に採用されました。最初 に赴任したのは僻地の学校でしたが、素晴らしい先輩 の先生方と子ども達に出会いました。教育環境も非常 に充実していました。そして、幸運なことに研究指定 校の全国発表直後の学校で、地域と学校が一丸となっ て取り組んでおられたのが非常に印象的でした。25歳 の時に京都市内に移動しました。そこで学校の教職員 の陶芸サークルの立ち上げに参加したんですね。身近 に清水焼などの陶磁器の窯があったことも影響したの かもしれません。1984年ごろからはインスタレーショ ンにも興味が移っていきました。紙や木、石、布など を使って制作するのは楽しかったですね。 でも仕事が忙しくなってだんだんアートと離れていき ました。改めて何かやりたい気持ちになったのは、教師を辞めてからですね。時間ができて、油絵の教室に 通い始めました。
ジョゼフ:なるほど、私が知っている陶芸や水彩画は ほんの一部だったのですね。
公庄:でも母親の介護でまた忙しくなって絵から離れ ました。それが終わってようやく始めたのが水彩画で す。
ジョゼフ:これまで色々な芸術を経験されてこられた わけですが、今後何かやりたいことはありますか?
公庄:はっきりとした予定はありませんが、家にある 古い腕時計があるので、それをリメイクして何か作っ てみたいですね。長年愛用してきたものを甦らせる行 為自体が好きなんですよ。
ジョゼフ:それはとても素晴らしい考えですね。
公庄:別に道具に限ったことではなくて、例えば花屋 さんで処分寸前な鉢植えの草花とかを見かけたら、な んとかしたいと思っちゃうんですね。だから引き取っ て家で世話してまた元気になったりするのが、とても楽しいんですよ。
ジョゼフ:私も海岸に捨てられたペットボトルなどの 廃棄物を再利用してインスタレーションを制作したこ とがあります。ですから公庄先生の何かを甦らせよう とする気持ちには非常に深く共感できますし、創作のための精神として変換できることは素敵だと思いま す。ぜひこれからも自由な気持ちで絵や陶芸を頑張っ てください。今日はありがとうございました。
公庄:こちらこそ、ありがとうございました。